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ちょっと気になる男性がいる。
彼は、郵便局に勤めている。 物ごしやら語りかたがやわらかく、雰囲気がいつもしっとり、やんごとなき人なのだ。 何事も丁寧に対処してくれ(時間がものすごくかかるという欠点はあるにしても)、ほほえみも絶やすことはなく、細い筆で「ほほえみ」と草書体で描かれているようなお顔である。 「え」の字が、お口。 でも彼ったら、他の局員の方々に、いつも遠慮している風なのだ。 そりゃテキパキ、ハキハキの客あしらいではないし、要領も悪そうなのはちょっと見でも感じられる。 他の局員さんの彼にくれる視線になにか冷たいものがいつも混じっているのを私は見のがさない。 彼の方を見ながら、ブツブツと小声でなにやら文句らしき言葉を発している局員さんも、見たことがある。 キッチリとした七三分けのヘアーを斜め45度に傾けつつ、小指を立てながらやんわり葉書を数える姿は、目が離せないほどのインパクトだ。 もちろんこの時も「ほほえみ」は消えない。 描かれているから。 先日、彼が大急ぎで、走り抜けるところを目撃した。 半端でないスピードの小走りだった。 げんこつにした手を、胸の横にぴったりつけ、肩すぼめつつの、見事な内股爆走。 それでも「ほほえみ」は消えない。 描かれているから。 私は彼、おねえmanだと思う。 過去に、陸上選手で、国体あたりでぶいぶい鳴らしてたんじゃないかとふんでいる。 彼の仲間の郵便局員は、彼の爆走を見たことがないのか!? あれさえ見せれば、彼に向けられる視線に、わずかな尊敬がまじると思うのだが・・・、局内の仕事には、あまり爆走のチャンスはない。 とても残念だ。 おねえmanは、今日も一生懸命私の郵便物の目方をはかり、 「140円です」 といい、 うっかり130円しか出さなかった私に、 「あ、すみません、あと10円足りません、ごめんなさい」 とこっちのミスにさえ謝る。 小首をかしげながら。 もう!彼ったらあ~。 この時ばかりは「ほほえみ」は「はにかみ」にやや変化していた。 私は彼の、少しだけ不気味な「ほほえみ」(はにかみでも可)を見たいがために、この郵便局に通う。 そして、あの内股爆走をもいっかい見たいと思っているのだ。
by watasinoinusuu
| 2008-01-07 19:21
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